住宅ローン返済中の転勤|ドラマだけの世界じゃない!どう対応する?

不動産

多くの人が住宅ローンを組んでマイホームを購入する際、返済期間は通常30年以上となります。

例えば30歳でマイホームを手に入れた場合、完済するのは60代になるでしょう。

しかし、思いがけず転勤の可能性が生じた場合、持ち家の処理について悩むことが出てきます。

住宅ローンの返済中に引っ越しをしてしまっても問題ないのか、引っ越し時にはどのような手続きが必要であり、最適な対応方法は何か、検討しなければならないことは数多く存在します。

今回は、住宅ローンの返済中に転勤が発生した際の持ち家の取り扱いについて考えてみましょう。

住宅ローンの融資条件

ご家庭をお持ちの方が転勤する場合、2つの可能性が考えられます。

1つ目は、住宅ローンの契約者である方自身が一人で単身赴任する場合です。

もう1つは、家族全員で引っ越す場合です。

お子さんがいらっしゃる場合は、年齢やその他の要素を考慮しながら、どちらの選択肢を選ぶべきか検討することになります。

ただし、持ち家をどのように扱うかを決める前に、住宅ローンの融資条件をもう一度詳しく確認することが大切です。

利用者本人の居住の条件がほとんど

住宅ローンを利用するには、融資条件が設定されています。

これは、各金融機関ごとに詳細に決められています。

具体的には、住宅ローンを利用できる範囲の人物、対象となる住宅の条件、ローンの使途、そして融資額などが含まれます。

融資条件はさまざまであり、その中で転勤という事柄に関連するのは、利用者自身が住むことが条件として求められることです。

多くの金融機関では、利用者自身の居住が求められるため、これを前提に金利の優遇措置や住宅ローン控除の対象になることがよくあります。

転勤には、単身赴任と家族全員の引っ越しという2つのシナリオが存在し、これによって対策方法やローンの扱いも変わってくる可能性があります。

たとえば、家族全員で引っ越す場合、現在の自宅は空き家になる可能性があります。

この状況に対する取り扱い方法としては、空き家として保持する、自宅を売却する、または賃貸物件として貸し出すという3つの選択肢が考えられます。

どの選択肢を選ぶにせよ、それぞれには利点と欠点が存在します。

空き家として保守する場合のメリットとデメリット

「持ち家を売らずに空き家として管理する」というケースについて詳しく説明いたします。

一時的な転勤の場合、将来的に戻ってくる可能性があるため、他の人に家を貸すことを避けたい場合や、家の状態が悪化することを避けたい場合など、さまざまな理由で空き家のままにすることがあります。

これにより、転勤から戻った際に直ちに住むことができます。

しかし、誰も住まない状態が続くと、逆に家が荒れてしまう恐れがあります。

カビやホコリの発生を防ぐためには、専門の空き家管理会社などに依頼することが必要ですが、これには費用がかかります。

さらに、固定資産税などの毎年の負担や、マンションの場合は管理費や修繕積立金もかかることを頭に入れておく必要があります。

また、防災や防犯上のリスクも考慮する必要があります。

長い間家を空けたままにすると、老朽化に伴う景観や衛生面の問題が発生し、近隣住民にも迷惑をかける可能性があることを忘れてはなりません。

金融機関に相談しないと契約違反

持ち家を保守する際には、空き家として使用する場合でも、金融機関と相談することが必要です。

なぜなら、自分が住んでいない状況であることは、契約上の問題になる可能性があるからです。

もしも相談せずに行動してしまうと、契約違反となり、一括返済を求められる可能性があるのです。

転勤や病気の治療、親の介護など、本人の意思とは関係なく引っ越さなければいけない状況になることはよくあります。

ですので、ローンを借りている金融機関に対して相談することは必ず行いましょう。

相談するのを忘れないようにしましょう。

マイホームを購入することのメリットは、転勤先から戻ってきた際にすぐに住むことができることです。

賃貸物件と比べて、引っ越しの手続きや探し物の負担がありません。

一方、マイホームのデメリットは、維持費や管理費、税金などの費用がかかることです。

これらの費用は定期的に支払う必要がありますので、生活費の一部を割く必要があります。

また、マイホームが老朽化した場合には、景観面や衛生面での問題が発生する可能性があります。

これによって、近隣住民にも迷惑をかけてしまう可能性があります。

例えば、外壁が崩れ落ちたり、排水管が詰まったりすることで、周りの環境に影響を与えることがあります。

売る場合のメリットとデメリット

転勤の期間が特に指定されていない場合、考えられる選択肢の一つは、持ち家を売却することです。

売却することによって、空き家として維持する必要がなくなり、維持費や管理費、固定資産税などの負担から解放されます。

さらに、引っ越し後の手続きや管理にかかる手間を考えずに済むメリットがあります。

ただし、売却する際にはいくつかの費用がかかります。

不動産会社に依頼をする場合、仲介手数料や印紙代などの費用が発生します。

また、売却額は諸費用を含めて残債よりも上回る必要があります。

なぜなら、残債を一括で支払えない場合は売却できないからです。

また、引っ越し先でも新居の費用や子供の転校に伴う準備費用などが発生するでしょう。

これらの費用を含めて、売却などの資金計画を立てる必要があります。

赤字にならないように慎重に考えましょう。

売却を検討する場合、一括査定のサービスを利用して売却可能な価格を確認することもオススメです。

査定サイトなどで簡単に行えますので、まずはそのようなサービスを利用して相場を確認しておく方がいいでしょう。

持ち家を売却するという場合のメリットは、まず維持費や管理費、税金などがかからなくなることです。

これにより、毎月の支出が減り、経済的な負担を軽減することができます。

また、引っ越し後の手続きや家のメンテナンスなどの手間を考える必要もなくなりますので、ストレスや時間を節約することができます。

一方で、デメリットとして考えられるのは、不動産会社への依頼や手続きに伴う費用がかかる点です。

具体的には、仲介手数料や印紙代などが発生しますので、売却には一定の費用が必要となります。

また、持ち家がまだローン残債がある場合、一括で支払えないと売却ができないという制約もあります。

以上が持ち家を売却する場合のメリットとデメリットです。

もちろん、個々の状況に応じて異なる要素もあるため、事前によく考えて検討することが大切です。

また、不動産の売却に関する法律や手続きなども把握しておくと、スムーズに取引が進むでしょう。

貸し出す場合のメリットとデメリット

期間が長くない場合や数年後に戻ってくる可能性がある場合、持ち家を手放すことは避けたいでしょう。

もっとも、空き家にしておきたくはない場合は、持ち家を貸し出す方法があります。

持ち家を貸し出すメリットは、まず収入が得られることです。

住宅ローンの支払いが続きますが、家賃収入が毎月の支払額を上回る可能性があります。

また、将来的に転勤先から戻ってくる場合、持ち家に戻ることができます。

ただし、修繕費や管理費、固定資産税などが家主の負担となるため、かなりの費用がかかることに注意が必要です。

また、必ず貸し出せるという保証はありません。

家が空室のままであると、その間に家賃収入は得られません。

そして時間が経つにつれて相場の家賃が下がり、さらに収入が減ってしまうリスクもあります。

ですので、経費などを計算し、利益を生み出せるかどうかを検討する必要があります。

金融機関に別途相談が必要

通常、住宅ローンの条件には、契約者本人やその親族が住宅に居住することが前提として設けられています。

もし契約者本人や親族が住んでおらず、家賃収入を得ている場合、住宅ローンの条件を満たさないことになりますので、できるだけ早く金融機関に相談する必要があります。

金融機関によって対応は異なりますが、「住宅ローンではなく投資用ローンに切り替えてください」というような提案を受ける可能性もあります。

もしも貸し出したことを金融機関に隠し通すと、発覚した際に一括返済を求められる可能性があるので、十分に注意しましょう。

転勤は予測困難な出来事ですが、もしご勤務先が全国に拠点を持っているなど、転勤の可能性がある場合は、住宅を購入する前にあらかじめ考慮しておくことも重要です。

転勤が決まってから慌てて考えると、最適な選択ができない場合があります。

事前の準備は何か起きた際に役立つことが多いので、家族ともよく話し合っておくと良いでしょう。

一つの方策としては、賃貸物件を選ぶことです。

賃貸ならば、転勤が決まった場合にも比較的スムーズに引越しすることができます。

しかし、自分の持ち家の賃貸化を考える場合には、契約や法律の規定に応じて手続きする必要があります。

また、賃貸物件の選び方や契約の際の注意点も調べておくと良いでしょう。

持ち家を貸すことにはいくつかのメリットがあります。

まず最も大きなメリットは、家賃収入が得られることです。

貸し出すことによって、毎月の家賃が入ってくるため、追加の収入源となります。

また、将来的に転勤などで一時的に家を離れる場合でも、持ち家に戻ることができます。

つまり、一時的に他の場所で住む場合でも、将来的には自分の家に帰ることができるという安心感があります。

一方、持ち家を貸すことにはいくつかのデメリットもあります。

まず、維持費や管理費、税金などは家主の負担となります。

貸し出している間も、定期的な修繕や設備のメンテナンス、市町村からの税金の支払いなどが必要になるため、これらの経費が負担となります。

また、必ず貸し出せるという保証はありません。

入居者を見つけるまでの期間や、家に対する市場の需要によって、貸し出しがうまくいくかどうかは保証されていません。

したがって、貸し出しによる収入が得られるかどうかは確実ではありません。

住宅ローン控除の扱い

転勤による住宅ローンの取り扱いについて、貸し出しや売却などの場合、住宅ローン控除はどのように扱われるのでしょうか。

住宅ローン控除とは、年末時点の残債に応じた控除額が、最長で13年間にわたって所得税から差し引かれる制度です。

例えば、毎年の控除額は残債の0.7%であり、最大で35万円まで控除されます。

トータルで見ると、最大で455万円の控除が受けられます。

では、住宅ローン控除は転勤により持ち家を貸し出したり、売却したりした場合にも受けられるのでしょうか。

住んでいないと控除を受けられない

住宅ローン契約者が単身赴任しても、配偶者や子どもが現在の住まいに残る場合、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

さらに、海外への単身赴任の場合でも、配偶者や扶養親族、その他の生計を一にする親族が12月31日までその住まいに居住していること、そして海外赴任が終了した後に再び共に生活する予定であることが条件となります。

ただし、海外赴任の場合は手続きが必要になるため、確認しておく必要があります。

一方、家族同伴での転勤の場合、住宅ローン控除の適用はどうなるのでしょうか。

住宅ローン控除を受けるための要件の一つとして、「住宅ローンなどを利用して住宅の新築や購入、改築などをして、その住まいを契約者またはその家族が居住用に供しており、さらに12月31日までその住まいを居住用に供していること」という条件が定められています。

つまり、住宅ローン控除を受けるためには、ローン契約者自身またはその家族が住まいに居住していることが必須条件となるのです。

まとめ

いかがだったでしょうか。住宅ローンを支払っている時に転勤の話しはよくある事です。

選択肢も多数ありますが、初動方法を間違えると金融機関から一括返済を求められることもあります。

全家族が引っ越すと、家族全員が持ち家を去り、その結果、住宅ローン控除は適用されなくなります。

ただし、単身赴任の場合以外にも、転勤から戻ってきて再び持ち家に住む場合、転居前に必要な手続きを行い、一定の条件を満たしている場合、住宅ローン控除を受けることができます。

将来的に転勤の可能性がある場合は、住宅ローン控除に関しても注意深く確認しておくことをお勧めします。