不動産の売買は、高額な金額が動くだけでなく、複数のステップを踏む必要があります。
ですので、円滑に進めるためには、あらかじめ手続きや流れを把握しておくことが重要です。
この記事では、マンションや一戸建てなどの不動産売買を考えている方に向けて、具体的な流れ、必要な書類、かかる費用などを詳しくご紹介します。
不動産売買のポイント
不動産売買とは、言葉通り不動産の売り買いを指します。
不動産売買は、売る側と買う側の両方が完了するまでには多くのステップがあり、手続きも複雑です。
初めて不動産売買に関わる方にとっては、疑問や不安を感じることが多いでしょう。
そこで、この記事では、不動産の購入や売却を考えている方に向けて、不動産売買の流れや必要な書類、費用などの基礎知識を詳しく説明します。
これらのポイントを理解し、スムーズに不動産取引を進めましょう。
不動産売買の流れ
売る場合と買う場合、それぞれにおいて多くのステップがありますが、不動産会社や不動産仲介業者のアドバイスや支援を受けながら進めることで、円滑な取引が行われることが期待されます。
不動産売却の流れ
不動産を売るときは、不動産会社に仲介を依頼して買主を探すのが一般的です。
査定の依頼
不動産を売ろうと思ったら、信頼できる不動産会社を選んで、物件の売り出し価格を決める必要があります。
そのためには、不動産会社に査定を依頼するのが一般的な方法です。
不動産査定には、大きく分けて「簡易査定」と「訪問査定」という2つの方法があります。
簡易査定は、自分の物件の情報をインターネットや電話で伝えるだけで、不動産会社が過去の取引データベースを参考にして、おおよその価格を計算してもらう方法です。
物件の築年数や間取り、敷地面積などの情報を提供することで、大体の販売価格を知ることができます。
一方、訪問査定は、不動産会社の営業担当者が実際に物件を訪れて、建物の状態や周辺の環境などを詳しく確認した上で査定額を提示する方法です。
簡易査定と比べると、より正確な査定結果が得られると言われています。
訪問査定によって得られた査定額は参考になりますが、最終的な売り出し価格は売主であるあなたが決める必要があります。
不動産の売却においては、相場を知っておくことは非常に役立ちます。
査定を受けることで、自分の物件がどのくらいの価値があるのかを知ることができます。
これにより、売り出し価格を決める際に適切な判断をすることができます。
媒介契約の締結
不動産を売却する際には、まず査定をお願いした不動産会社の中から1社を選びます。
選んだ不動産会社とは「媒介契約」という契約を結び、彼らに売却の仲介を依頼します。
媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3つの種類があります。
これらの契約種類によって、売主であるあなたの自由度や、不動産会社が負う義務が異なります。
また、不動産会社に仲介を依頼する場合は、仲介手数料を支払う必要があります。
ただし、この仲介手数料は成功報酬の性質を持っているため、買い手が見つからず、最終的に売買契約が成立しなかった場合は、手数料は発生しません。
つまり、成果が出なければ費用がかかることはありませんので、安心して依頼できます。
売却活動
媒介契約を締結した不動産会社と共に、不動産の売却活動を進めることになります。
不動産会社は、広告や宣伝を通じて購入希望者を募り、内覧の機会を設定します。
売主自身が居住している場合は、内覧の対応も売主自身が行います。
売買契約の締結
不動産の購入者が確定した場合、売買契約を締結します。
この時点で、購入者が本当に買う意思があるかどうかを確認するために、引き渡しまでの期間に買主から手付金を受け取ることが一般的です。
決済・引渡し
物件の引き渡しは通常、決済と同日に行われます。
引き渡しの際には、売主から買主へ所有権が移されるため、「所有権移転登記」という手続きが同時に行われます。
通常、所有権移転登記は買主側が手続きを行いますが、司法書士に代行してもらうことも一般的です。
一方、売主側は「抵当権抹消登記」が必要な場合があります。
抵当権は住宅ローンをすべて返済していても、自動的に抹消されることはありません。
したがって、住宅ローンを利用して物件を購入した売主は、住宅ローンを完済した後、必ず抵当権抹消登記を行う必要があります。
これによって、物件に関する債権情報が抹消され、新しい所有者である買主に不要な負担が発生しないようになります。
確定申告
不動産を売却して得た利益は、譲渡所得と呼ばれます。
この譲渡所得は、所得税や住民税の対象となるため、納税しなければなりません。
これらの税金をまとめて譲渡所得税と呼ぶこともあります。
ただし、住宅を売却した場合、特別な控除や特例があり、税金を軽減することができる場合があります。
たとえば、「3,000万円の特別控除」や「買い換えの特例」といったものがあります。
条件を満たすと、納税額が少なくなることもあります。
譲渡所得の確定申告をする際には、予め控除や特例の利用が可能かどうかをチェックしておくと良いでしょう。
不動産購入の流れ
不動産は、売主が直接販売する「売主物件」と、不動産会社が仲介する「仲介物件」の2つに分けられます。
売主物件は、ハウスメーカーや工務店が建てた一戸建てや、デベロッパーが建てたマンションなどが該当します。
これらの物件は、売主自身が直接販売を行っています。
一方、仲介物件は、売主と購入希望者の間に不動産会社が入って取引を仲介する形態です。
中古の一戸建てや中古マンションに多く見られ、売主が個人である場合は、不動産会社が仲介役として介入することが一般的です。
売主物件と仲介物件の購入の流れはほぼ同じですが、仲介物件では仲介手数料の支払いが発生する点が特徴的です。
これは、不動産会社が売主と購入希望者の間で取引を仲介することによって、不動産会社の手間や労力に対する報酬として支払われるものです。
希望条件の整理・情報収集
家族の構成や将来の計画に基づいて、どのような住まいが最適かを考えることが重要です。
たとえば、家族が現在どのくらいの人数であるか、今後増える予定はあるのか、または家族の将来のライフスタイルやニーズは何かを考えてみましょう。
その後、希望条件を具体化していきます。
例えば、居住地域はどのような特徴を持っていることが望ましいのか、具体的なエリアや交通アクセスの条件を考えます。
また、家の広さや間取り、必要な設備やアメニティ、庭の有無など、具体的な要件を整理していきます。
優先順位付けも重要です。
必須の条件や欠かせない要素を洗い出し、それ以外の条件と比較して優先順位をつけることが大切です。
予算決め・資金計画
まずは、洗い出した希望条件を基にして、物件の購入価格をおおよそ調べます。
その際には、資金計画を立てる必要があります。
資金計画では、まずは初期費用を用意できるかどうか、そして住宅ローンを返済していくことが無理なくできるかどうかを考慮することが重要です。
このような視点から、短期的な視点と長期的な視点の両方を意識して考えましょう。
もし予算的に厳しい場合には、希望条件を柔軟に選択する必要が出てくるかもしれません。
例えば、希望条件の中で優先度の低いものを一時的に取りやめるなどの選択が必要です。
物件選び・住宅ローン選び
まずは、インターネットを利用して希望条件に合う物件を調べることができます。
様々な不動産サイトやアプリがあり、利用することで、地域や予算、間取りなどの条件に合わせた物件を探し出すことができます。
内覧・現地見学
もし気に入った物件を見つけたら、物件の内覧を予約しましょう。
具体的な物件を実際に訪れることができる場合もありますし、モデルルームを見学することもできます。
購入申し込み
内見した物件の中から、実際に購入したい物件を絞り込んだら、売主のハウスメーカーや不動産会社、マンションデベロッパーなどに対して、購入の申し込みを行います。
この時、自分の購入意思を明確にするために、「申込証拠金」を支払うことがあります。
申込証拠金を支払うと、交渉が優先的に進められる可能性がありますが、法的な効力はありません。
つまり、売主や仲介業者は申込証拠金を受け取ったとしても、別の購入希望者との交渉を進めることができます。
ただし、契約が成立しなかった場合、売主や仲介業者は受け取った申込証拠金を返還しなければなりません。
この返還義務は法律で定められています。
申込証拠金を支払う際には、返還についてしっかりと確認しておくことが重要です。
そうすることで、トラブルを避けることができます。
住宅ローンの事前審査
住宅ローンを申し込むときは、まず事前審査を受ける必要があります。
事前審査は、あなたがローンを返済できる能力を簡単にチェックするもので、通常は数日から1週間以内に結果が出ます。
契約内容の確認・重要事項の説明
購入する前に、物件の所有者や所在地を正確に登録する手続きである「登記」の詳細や、購入金額、支払い日などの重要な情報について、宅地建物取引士が口頭で説明を行います。
しかし、口頭説明だけでなく、重要な書類にも目を通し、内容を十分に確認することが大切です。
記載されている情報に誤りがないか、自身でも確認するためにも、書類を注意深く確認しましょう。
売買契約の締結
もし契約内容に問題がないことが確認されたら、購入契約書を作成し、売買契約を結ぶことになります。
この際に手付金を支払う必要があります。
手付金とは、購入の意思を証明するために支払われる金額で、通常は物件価格の5~10%程度です。
また、仲介物件の場合、不動産会社に対して仲介手数料を支払う必要があります。
支払いタイミングとしては、売買契約が締結された時と物件の引き渡し時の2回にわたり、それぞれ半額ずつ支払います。
このような支払い方法は一般的です。
住宅ローンの本審査・契約
住宅を購入する際には、住宅ローンを利用して資金を借り入れることが一般的です。
住宅ローンの借り入れ手続きは、売買契約が成立した後に住宅ローンの本審査が行われ、契約が確定します。
本審査では、事前審査よりも多くの書類が必要となり、その結果が出るまでには時間がかかる場合があります。
引渡し・融資実行
物件を引き渡す日には、住宅ローンの融資と不動産の登記手続きも行われます。
不動産の登記手続きには、中古住宅の所有権が移転したことを示す「所有権移転登記」と、住宅ローンを利用する際に金融機関と共同で申請する「抵当権設定登記」があります。
抵当権は、借主が住宅ローンの返済をできなくなった場合に、金融機関が物件を差し押さえて競売に出し、得た利益を返済に充てるための権利です。
登記手続きは自分で行うこともできますが、抵当権設定登記が必要な場合は、一般的に司法書士に依頼することがおすすめです。
不動産売買に必要な書類
不動産を売買する際には、書類の準備が不可欠です。
特に、契約を結ぶ段階や登記手続きを行う際には、さまざまな書類が必要となります。
ここでは、不動産を売る場合と買う場合のそれぞれにおいて、必要となる書類についてご説明いたします。
売却時必要書類
不動産を売却する場合、購入する場合と比べて、提出しなければならない必要書類が多くなります。
中古物件の売却では、不動産会社に権利の所在を示す書類や土地面積が分かる書類を提出する必要があります。
また、物件の固定資産税額を示すために、年税額が判る書類を準備する必要もあります。
特に以下に挙げる書類は重要度が高いです。
1. 登記済証(権利証)または登記識別情報
2. 土地測量図・境界確認書
3. 付帯設備表
4. 告知書(物件状況報告書)
5. 固定資産税・都市計画税納税通知書
それ以外にも、不動産会社に依頼して用意してもらう書類や、買主に提出してもらう書類などが複数あります。
ただし、必要な書類もその重要度や必要性の度合いには差があります。
したがって、具体的な不動産売却の場合には、不動産会社に詳しく尋ねて、必要な書類を用意することが望ましいです。
また、一戸建てとマンションを売却する場合でも、必要書類は異なるため、実際に売却に臨む前に、不動産会社に相談してみることがおすすめです。
購入時必要書類
不動産を購入する時には、さまざまな書類が必要となります。
具体的には、売買契約をする時には身分証明書が必要となります。
身分証明書には、運転免許証やパスポートなどが該当します。
また、実印と印鑑証明も必要となります。
実印は契約書に自分の署名を押すために使われますし、印鑑証明は自分の実印が本物であることを証明するものです。
もし住宅ローンを借り入れる場合には、さらにいくつかの書類が必要になります。
住民票が必要となりますので、住んでいる市町村役場で取得することが必要です。
また、所得を証明できる書類も提出しなければなりません。
これには、源泉徴収票や所得証明書などが該当します。
更に、借入金残高証明書または返済予定表、そして返済口座通帳の提出も必要です。
これらの書類は、住宅ローンを返済する能力や返済の実績を証明するために求められます。
以上が不動産を購入する際に必要となる書類の概要です。
各書類の提出タイミングは、売買契約時と住宅ローン借り入れ時となりますので、それぞれのタイミングで書類の準備と提出を行う必要があります。
まとめ
この記事では、不動産売買の基本的なポイントを、家を「売る」ときと「買う」ときそれぞれの視点から解説してきました。
不動産売買は、大きな金額が動くだけでなく、多くのステップが必要なため、時間がかかる場合もあります。
取引方法は電子化が進んでおり、必要な手続きや書類も変わっていく可能性があります。
そのため、不動産売買をスムーズに進めるためには、最新情報を収集し、お金とスケジュールの計画をきちんと立てる必要があります。
さらに、信頼できる不動産会社との取引も重要です。
特に、マイホームを買い替える場合は、不動産売却と購入を同時に進めるため、手続きが増えますので、注意が必要です。
詳しくは、別の記事でマイホームの買い替えについて解説しているので、参考にしてください。