住宅ローンを利用して自分の家を買う場合、金融機関に対して融資を申し込み、あなたが返済できる能力があるかどうかを審査してもらう必要があります。
契約時に住宅ローン審査が必要であることは、多くの人が知っているかもしれませんが、実際にどのような点を重視されるかについては、あまり知られていないかもしれません。
ここでは、住宅ローン審査の手続きや仮審査と本審査の基準について詳しく説明します。
重要なポイントを注意深く確認すれば、住宅ローン審査に通るための対策が見えてくるかもしれません。
ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローンの流れ
住宅ローンを申し込むときには、大きな金額が貸し付けられるので、きちんと「返済可能かどうか」を詳しく2つの段階で審査してもらわなければなりません。
以下では、住宅ローンの審査が通るまでの一般的な手続きについて説明します。
購入する物件を決める
住宅ローンの審査は、物件を決めてから申し込むことになります。
この理由は、購入する物件の評価も審査の対象になるからです。
もし物件の価値が著しく低い場合、住宅ローンの審査で不利になる可能性が高くなりますので、注意が必要です。
また、住宅ローンの審査では借入額と返済負担率も見られますので、事前に借入額を決めておく必要があります。
そのため、購入を希望する物件の候補を決めておくことが重要です。
最初に不動産会社を訪れ、内覧などをしながらお気に入りの物件を探しましょう。
同時に、住宅ローンについても調べておくとスムーズな進行につながりますのでおすすめです。
事前審査を受ける
物件を見つけた後、住宅ローンの申請手続きに進みます。
住宅ローンの審査は、仮審査と本審査の2つのステップで行われます。
仮審査は、借り入れが可能かどうかを大まかに判断する最初の審査です。
仮審査の所要日数は金融機関によって異なりますが、一般的には約1週間かかります。
最近では、多くの金融機関がインターネットを通じて仮審査を受け付けるようになっており、忙しい方でも簡単に仮審査の申し込みができます。
本審査を受ける
住宅ローンの本審査には、通常1~2週間ほどの時間がかかります。
ただし、この期間はあくまで目安であり、特に大型連休期間中や書類に不備がある場合など、さらに長い時間がかかることもあります。
そのため、具体的な審査期間については、事前に担当者に確認しておくことが重要です。
例えば、銀行からの回答が予想よりも長い時間かかる場合は、担当者に問い合わせをすることで、現状を把握することができます。
これにより、不安やストレスを軽減しつつ、スムーズな手続きを進めることができるでしょう。
住宅ローン審査に通らない主な理由
住宅ローンの審査は、年収が低い場合や勤続年数が短い場合など、審査に通らないケースが多いものです。
残念ながら、住宅ローンの審査に申し込んだ結果、落とされてしまう人は珍しくありません。
ですが、審査に通らない理由を把握しておくことで、住宅ローンの申し込みに向けて対策を立てることができます。
返済負担率が高い
返済負担率が高すぎると、将来的に返済が困難になることが予想されるため、住宅ローンの審査で不合格になる可能性があります。
住宅ローンの審査では、年収に対して返済額が30~35%以内に収まることが望ましいですが、返済負担率が低いほど、審査が通りやすくなります。
特に、年収が100~300万円などやや低い場合は、返済負担率を20%以下に抑えておかないと、審査が厳しくなるかもしれません。
また、返済負担率には他の借入も考慮されるため、注意が必要です。
自動車ローンやカードローンなどの他の借入がある場合は、完済することを契約前に伝えると有利になります。
金融事故の履歴がある
住宅ローンの審査では、金融事故の履歴があると、審査に通る可能性が低くなります。
金融事故とは、例えばクレジットカードの支払いが遅れたり、携帯電話の支払いが数か月遅れたなど、ささいなことでも記録として残ることがあります。
ですので、些細なことでも金融事故の履歴が残り、それが結果に影響する可能性があるので注意が必要です。
通常、金融事故の履歴は5年で消えるとされていますので、一定の時間が経過すれば再度住宅ローンを組むことができるようになります。
もしも早急に住宅を購入したい場合は、不動産会社に相談すると、状況に合わせた対処方法を提案してもらえることもありますので、諦めずに相談してみると良いでしょう。
購入物件の価値が低い
もしも担保として提供される物件の価値が低い場合でも、住宅ローンの審査で否定される可能性が高くなります。
これは、申し込み者に直接的な問題があるわけではないのですが、債権者はリスクを管理しなければならないため、これは避けられない事実です。
もしもこのようなケースに直面した場合は、頭金を増やして融資を受ける金額を減らすという対策が効果的です。
借入時や完済時の年齢が高い
住宅ローン審査において、借入時の年齢や完済時の年齢が高い場合、金融機関は返済能力にリスクがあると判断し、審査で不合格になる可能性があります。
実際に、多くの金融機関が借入時や完済時の年齢を審査の基準としています。
しかし、住宅ローン審査を申し込む際に借入時の年齢や完済時の年齢が高い場合でも、審査を通過する可能性はゼロではありません。
例えば、頭金を増やしたり返済期間を短くしたりすることで、返済能力を高めることができます。
また、将来的に返済し続ける見通しがあると証明できる要素も審査に通る可能性があります。
例えば、資産を所有していたり、退職金が多い場合などです。
借入時の年齢や完済時の年齢が高くても、返済能力や安定性をアピールすることで、住宅ローン審査に通る可能性はあります。
ただし、各金融機関の審査基準は異なるため、具体的な条件については各金融機関に確認することが重要です。
転職してあまり時間が経っていない
転職してからまだ間もないと、住宅ローンの審査に合格するのは難しい場合があります。
なぜなら、安定した返済能力が十分にあるかどうかが評価されるからです。
このような場合には、一般的な対策方法として、勤続年数を増やして再び申し込むことがおすすめされます。
また、頭金を増やすことで、自己資金の割合を高めることも有効です。
さらに、配偶者とのペアローンや収入合算など、収入を増やす方法も考えることができます。
これらの対策を取ることで、住宅ローンの審査に通りやすくなることが期待できます。
健康上の問題を抱えている
健康上の問題で団体信用生命保険に加入することができない場合は、住宅ローンの審査でリスクが高いと判断され、借り入れが認められない可能性が高くなります。
一般的に、金融機関の住宅ローンでは団体信用生命保険に加入することが必要条件とされています。
しかし、フラット35という住宅ローン商品では、団体信用生命保険に加入せずとも契約することができる場合があります。
そのため、住宅ローンを組む際には、金融機関の商品だけでなく、フラット35も検討することが一つの方法となります。
また、最近では持病があっても加入できる「ワイド団信」という保険商品も増えてきているため、そういった商品を利用することも良いでしょう。
住宅ローン事前仮審査に通るポイント
住宅ローンの事前仮審査に通るためのポイントは次の通りです。
まず、他の借り入れを完済しておくことが重要です。
複数の借り入れがあると、返済負担が増え、返済能力の評価が低くなってしまいます。
また、消費者金融からの借り入れは控えるべきです。
消費者金融は高金利で貸し付けを行うことが多く、返済能力が低いと判断される恐れがあります。
さらに、住宅の購入時期に転職を考える場合は注意が必要です。
転職先の収入が安定しておらず、返済能力に影響が出る可能性があるため、ローン審査が厳しくなることがあります。
その他にも、自身の収入や財産に見合った借り入れをすることが重要です。
返済能力を過信せず、自分の状況に合った返済計画を立てることが重要です。
さらに、頭金を増やすことも有効な手段です。
頭金を増やすことで、借入額が減少し、返済負担が軽減されます。
また、頭金の額が多ければ多いほど、ローン審査に通りやすくなる傾向があります。
その他の借り入れを返済しておく
住宅ローンを申請する際には、返済比率を考慮する必要があります。
返済比率とは、収入に対して借り入れの返済額がどれくらい占めるかを表す指標です。
この返済比率が基準を超えると、審査に通らない可能性があります。
また、返済比率を計算する際には、住宅ローンだけでなく、クレジットカードの利用残高や自動車ローン、奨学金など、他の借り入れも考慮されます。
つまり、住宅ローンの返済比率が基準内であっても、他の借り入れの返済額を加えて計算した場合に比率が高くなると、審査に通らない可能性があるのです。
そのため、住宅ローンを申請する前に、もし可能であれば他の借り入れを返済しておくことをおすすめします。
返済額が少なくなることで、返済比率が抑えられ、審査に通りやすくなるでしょう。
ただし、契約の内容やローンの種類によっては、早期返済に伴う手数料などが発生する場合もありますので、事前に契約内容を確認しておくことが重要です。
消費者金融からお金を借りない
消費者金融を利用して借り入れを行っている方は、その事実だけで住宅ローンの審査に影響を与えることがあります。
これは、消費者金融からの借り入れがネガティブなイメージで捉えられるためです。
さらに、消費者金融の借り入れは金利が高く、返済負担も大きいという特徴があります。
そのため、住宅ローンを申請する際には、消費者金融からの借り入れを一切していないことが望ましいです。
さらに、過去にも消費者金融からの借り入れの実績がないことが望ましいです。
住宅ローンの審査では、借り入れの実績や返済能力が重要な要素となりますので、消費者金融からの借り入れがないことが有利に働くでしょう。
住宅の購入時期を考えて転職する
住宅ローン審査には、将来の仕事の安定性や年収が重要な要素となります。
ですので、長期的な視点で考える必要があります。
具体的には、現在の仕事状況や収入水準を考慮して、住宅購入の時期を検討することが推奨されます。
仕事の状況を無視して住宅購入を考えることは一般的に難しいです。
同時に、住宅が日常の仕事やプライベート生活に与える影響は大きいです。
別々の問題として扱うのではなく、全体的に最適な選択をするために総合的に考えましょう。
収入や財産に見合った借り入れをする
住宅ローンを確実に通すためには、借入額や物件の選択において、収入や財産と見合った金額を選ぶことが非常に重要です。
返済比率が低い場合、借り手の負担は減りますので、返済能力が高いと評価されやすくなります。
貸金業者や金融機関に自分の返済能力の高さをアピールするためには、年収に応じて返済比率を調整することが有効です。
以下の目安を参考に、借入額や購入する物件を決めましょう。
年収が300万円以下の場合は、返済比率を20%以下としましょう。
年収が301~450万円の場合は、返済比率を30%以下に抑えましょう。
年収が451~600万円の場合は、返済比率を35%以下に保ちましょう。
年収が601万円以上の場合は、返済比率を40%以下に設定しましょう。
頭金を増やす
住宅ローン審査では、住宅を購入する際の頭金として用意する金額が大切です。
通常、購入額の約20%を頭金として準備することが推奨されています。
なぜなら、頭金を増やすことで、金融機関からのローン審査を通りやすくなるからです。
頭金とは、住宅購入にかかる費用の一部を初めに支払うことを指します。
これを増やすことは、資金計画がしっかりしていると判断され、金融機関からの信用を得やすくなるのです。
逆に、頭金が少ない場合は、審査で差が生じることがあります。
したがって、住宅を購入する際には、購入額の約20%を頭金として用意することが望ましいです。
これにより、ローン審査がスムーズに進み、住宅を購入するための条件をクリアしやすくなるのです。
住宅ローン本審査
住宅ローンを申請する際には、まず事前審査が行われます。
この審査では、収入や勤務先の確認、借入履歴などがチェックされます。
必要な書類も、収入証明書や職場の在籍証明書、過去の融資履歴などが提出されます。
一方、本審査は不動産売買契約が成立した後に行われます。
住宅ローン本審査に必要な書類
住宅ローンの本審査に必要となる一般的な書類について説明します。
本審査で必要とされる書類は、仮審査の際に必要とされる書類とは異なるものですので、事前に準備しておくことが重要です。
まず、必要な書類の一つは「住民票」です。
住民票は、自分が実際に居住している市町村役場から取得することができます。
住民票は、本人の現在の居住地や家族構成などの情報が記載された書類です。
次に必要な書類は「印鑑証明証」です。
印鑑証明証は、役所や金融機関などで発行してもらえます。
印鑑証明証は、自分の印鑑が本物であることを証明する書類です。
また、「源泉徴収票」も必要とされる書類になります。
源泉徴収票は、給与所得者や事業所得者など、給与から天引きされた税金額や年収などが記載された書類です。
ご自身の所得に応じた源泉徴収票を準備してください。
更に、「本人確認証明書」も必要な書類の一つです。
本人確認証明書には、自分の氏名や生年月日、住所などが記載されています。
運転免許証やパスポートなど、公的な書類を使って本人確認証明書を取得してください。
また、「売買契約書」や「物件確認証明書」も住宅ローンの本審査に必要とされる書類です。
売買契約書には、物件の売買に関する詳細な情報が記載されています。
物件確認証明書には、物件の登記情報や所有者などの情報が記載されています。
これらの書類は、契約の内容や物件の詳細を確認するために必要です。
なお、必要な書類は金融機関によって異なる場合があるので、住宅ローンを申し込む予定の金融機関に必ず確認してください。
金融機関から指定された書類を準備することで、スムーズな本審査が進められるでしょう。
まとめ
通常、住宅ローンを申し込むときには、仮審査と本審査の2つの段階があることが一般的です。
仮審査では、収入や勤続年数、健康状態、過去の借り入れ履歴など、様々な要素が審査基準となります。
ですから、住宅ローンをスムーズに進めるためには、これらのポイントを理解し、有利な条件を整えることが重要です。
もし住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、その理由を知ることで対策を考えることができるかもしれません。
たとえば、収入面での不足や勤続年数の短さ、健康状態の問題、過去の借り入れ履歴など、改善できる要素を見つけられるかもしれません。
この記事を参考にして、自分の理想のマイホームを購入するための準備を進めましょう。
住宅ローンの審査に合格するためには、審査のポイントを把握し、自身の置かれている状況を客観的に見つめ直すことが大切です。
また、必要な対策を講じることで、再び挑戦する意欲も湧いてくるかもしれません。
頑張ってください。